Life Design - Value & Career

戦略士のキャリアデザイン

ふと自分自身の仕事について、振り返って棚卸してみた記録です。結果的に、弊社の誕生秘話にもなっています。取り立てて秘密にするようなことは何も無いんですけどね(笑)。

平成最後の独立⇒激動の令和元年

独立したのが2年前、平成最後(2018年)の5月7日でした。結果的に。翌年(2019年)の5月7日からが(ウィークデーとしては)令和元年なんで。勿論そんなこと予期せずに登記したんですけど、振り返ってみると何か良いですよね。「何か良い」とか最悪のコメントですけどね。マーケティングに携わる人間として。

周りに示しがつかないので一応言語化しておくと(笑)、時代が変わるのを先取りしたかのように行動を起こした感が漂うのが良いんでしょうね。

改元が分かった後ならタイミングは合わせられますが、弊社の登記日に元号の方から合わせに来たが如く1年後に変わってる訳ですから。おう、苦しゅうないぞ令和。愛い奴よ。付いて参れ。

令和になって新時代ヒャッホー感も束の間、夏には未曽有の豪雨、秋には超大型台風、冬には新型コロナで現在も予断を許さない状況と、スタートから盛大にすっ転んでいる新元号。靴紐でもほどけとんか新元号。室町以前なら間違いなく即刻改元もしくは大仏建立案件でしょう。もうスリッポンにしといたら?

そんな黎明期を経て、おかげさまで弊社は継続的にお仕事を頂けており、充実した日々を楽しんでおります。関係者の皆様にはこの場を借りて改めて御礼申し上げます。引き続きよろしくおねがいいたします。

独立スゴいっすねって言ってもらうこともありますが、ぶっちゃけ独立は簡単にできて、顧問契約してくれれば独立に係る手続きやら何やら一式まるっと無料でやりますよ、っていう税理士法人があるんですよ。よろしければご紹介しますのでご連絡ください。

それよりも僕に変わらずお仕事を発注し続けてくださるクライアントさんや、一緒に仕事をしてくださるチームの皆さんの方がスゴい。何なの仏なの?

独立までの4回の転職⇒行きたい会社の消滅

何で独立したんやっけ、って考えたら、「もう行きたい会社が無くなったから」っていうのと、「自分みたいなパートナーが外部に居てほしいってずっと思ってたから」でした。

大学卒業後、広告代理店2社に5年半、クリエイティブエージェンシーに1年半、メーカーに3年、デジタルエージェンシー(コンサル?)に3年という計5社。結構キャリアチェンジしてる方だろうと思いますが、正直、明確な指針とかゴールビジョンとかそんなものは持っていません。今も。

職種はプロモーションプランナー、マーケティングプランナー、コピーライター、コミュニケーションプランナー、クリエイティブディレクター(実質ブランドマネージャー)、ストーリーデザイナー。他にも細々あったけど割愛。ただでさえカタカナ多くて長いし親も年だしあなたしかいないし。

最初の広告代理店では同タイミングで転職してきた上司を始めメンターにも恵まれ、企画も楽しかったけどコピーライターになりたくて。でも社内で転属のシステムが無く、なのに望まない職種のまま転勤の辞令が出た。断ったらどうなるのか聞いたら辞めてもらうしかないとのことだったので辞めますって言ったら引き止められたんですけど意味分かんなくないですか(笑)?

2社目の広告代理店は最大手の一角で、すぐ上で面倒見てくれたディレクターはキレッキレで超勉強になったし営業さんも上から現場までハートがある気持ちの良いチームと仕事をさせてもらえました。ただ上司が社内外でも有名なパワハラおじさんで「あー長くは居れないなー」と思い、入社間もなく転職活動を再開して半年後に内定を頂き、交渉の末(笑)コピーライターの肩書を付けてもらえることになったので退職。

3社目はほぼ個人事務所のクリエイティブエージェンシー。社長はデキる人だったけど人を引っ張るのも若手に教えるのもンマー下手なTHE・職人でした。しばらくして長年連れ添ったプロデューサーが辞めたり社長本人の体調不良があったりで「プランナーとして一緒にやるかコピーライターとして転職するかDOCCHI?」と言ってもらい、コピーライターを選択

4社目が化粧品メーカー。最初はコピーライターとしてWEBチームにいたんですが、勝手に主力商材のブランド戦略考えて役員提案したらブランドマネージャー的な立場に引っ張られた。ここでそれまでの経験が全部武器として繋がるアハ体験をして、数字で表せる確かな結果も出したものの、社内政治が下手過ぎて(笑)1年で外されて色々なチームを回ってるうちに、そろそろ自分のいる場所じゃなくなってきたなと感じて離脱。

この時点で転職したい企業がかなり絞られていました。コピーライターにはなれたし、過去に戻る気も無いし、アップグレードさせるなら「ナショナルクライアントの案件を直接受注して戦略から実施まで担える規模と機能を持った何らかのエージェンシー」というギチギチの条件。応募企業はほぼ一択だったんですが、運良く採用されました。綱渡り感満載。

そんな5社目はデジタルエージェンシーで、後にコンサルティングファームのグループになりました。偶然旧知の友人が在籍していたり、入社当初は上司にも恵まれて新しい経験を幾つも楽しめた。ただ親会社が変わったことによる組織のゴタゴタや文化の変容が僕の許容範囲を超えたので袂を分かつしかありませんでした。変わるんですね、会社って。

ここでこの章の冒頭に返ってきます。

一択で入った会社から出るしかなくなったことにより、「もう行きたい会社が無くなった」んですね。お腹は空いてるのにごちそうさまでした状態。

会社員時代の経験⇒パートナーの重要性

そこで改めて思い出したんですよね。4社目のメーカーで働いてるとき、理論だけのコンサルにも、メディア中心の代理店にも、制作物ありきのクリエイティブエージェンシーにも、手法が限定されるデジタルエージェンシーにも相談できない悩みが山ほどあったことを。(もちろんそれぞれ必要なんだけど、状況ごとの果たすべき役割や守備範囲の話。)

それらをどうやって解決していたかっていうと、シンプルに社内で必死こいていた(笑)。特定の課題に関係する人の中で問題意識と実行意欲の高い人を集めて、それこそ隣に座ってる人とか目が合った人を捕まえて、というかそういう流れでむしろ僕が頻繁に捕まって(笑)、知恵を出し合って、役員にぶつけて。

結果として何とかなっていたけど、それはベストではなかったかもしれない。社内だけだと誰だってどうしたって多少なりとも視野は狭まる。となると?

そう。前章の冒頭の二つ目、「自分みたいなパートナーが外部に居てほしい」っていう話になるんです。

理屈じゃない、媒体じゃない、制作物じゃない、とにかく困っている、そんな時でも、あるいはそんな時だからこそ、相談できる相手が隣にいて欲しかった。

そこで弊社の名前を「となり」に、僕の肩書を「戦略士/伴創者」としました。

そんな僕を面白がって拾ってくれる器のグランデな諸先輩方がいらっしゃり、その皆様とは今も一緒にお仕事をしています。実務を通じて恩返ししようとしているところで、まだまだ足りていませんが、この調子で、いやこれ以上の調子でいつか必ず。

今、「クライアント(広告主、事業会社)側」と、「エージェンシー(代理店、コンサル)側」の二つの顔を持っています。

経歴としてではなく、リアルタイムで同時に、というのが比較的珍しいのではないでしょうか。僕個人としての価値はここが分かりやすいかもしれません。完全に異なる立場から物事を見ることになるので、自然と視野が広く、視座が高くなりやすい環境なのです。環境はね(笑)。

会社の業種分類が難しく、既存のカテゴリに入れようとすると「コンサルティング業」になってしまうのがもどかしいのですが、「伴創」の言葉の通り、一緒に創る、つまり実行まで一緒に並走する息の長いパートナーシップを前提としています。

そのため単発のご相談や部分的なご依頼は基本的にお断りしています。

「隣り合う」ような継続的な関係性の構築が、双方のパフォーマンスを最大限に引き出し、お互いに満足度が高まる重要な要件だと思っています。

複数領域での叩き上げ⇒確かな基盤

複数の企業の「となり」に居て多様な課題について建設的な議論ができる基礎体力は、振り返ってみるとやはり独立までの5社で培われていましたね。そういう観点から、一片の嘘偽りなくこれまでの全ての会社に深く感謝しています。

各種エージェンシー時代には自動車および自動車関連企業、飲料、食品、鉄道、航空、通信、生活インフラ、レジャー、製薬、酒造、電機など多くのクライアントを担当して幅広い業界を自分事化する機会に恵まれましたし、課題解決を提案する過程で論理構築だけでなくマス含むメディア、PR、イベント、デジタルテクノロジーなど各手法の使い方、マーケティング的思考、企画の立て方、数字の扱い方などを習得できました。

かつ、自分自身が現場に入ることから始まったのが貴重な財産

イベントで言うとパンチ(カーペット)がメーターいくらで何㎜のトラスが何mでいくらでとか。モノづくりでは縫製だとこうで成形だとああで納期がこう変わってとか。デジタルならSNS投稿のネタ作りから写真1枚1枚の撮影に至るまで。記事コンテンツ制作のための地方取材なども自分で行ってました。コピーライター時代には自分でフォトショ使って画像加工したり、メーカーでWEBチームに配属中にはコーディングにも手を出したり。

独立後の僕しかご存知ない方からすると意外な程クラフトマンだったのです。

コピーそのものに関しても、メーカー入社当時週1ペースで出ていた新商品のタグライン、キャッチフレーズ、ランディングページの構成およびライティングを全部1人で作って役員に提案してボコボコにされながら修正して承認取ってデザインチームとWEB制作チームに回すという一連の業務を入社してから数か月続けてました

あれは人生で屈指の濃い数か月だった。実際に経過した時間の数倍~数十倍分仕事してた気がする。実際、先に入社してた同僚から「まだ半年ですか!? もう5年くらいいません(笑)?」的なことよく言われてた。ん? 態度デカかっただけ?

ちなみにこの時期を乗り越えられたのは紛れもなく前職の社長から受けた数多くの薫陶があったから。当時は完全に謎だった罵詈雑言を含む無数の暗号が、次の職場でみるみる解読&インストールされていく奇跡。ていうかこのアホにも分かるように伝えてくれればもっと話早かっただろうに(笑)!

ブランドマネージャーとしては、一企業の主力商材を背負い多くのお客様に届けるということの責任の大きさ、経営層と向き合う立場という事の重大さ、何が何でも数字を追うという基本姿勢、当たり前のように成果を出すことや人を巻き込み動いてもらうことの難しさを、身を以て知りました。

エージェンシー時代の個別のスキルやノウハウが自分の中で一体となったのもこの時期で、ビジネス全体を見る志向性が癖付きました

この頃もコピーを書いてましたが、TVCMのコンテ、雑誌や交通広告の企画、プレスリリース、商品パッケージ、通販同梱チラシ、バナー広告、リスティング広告、ウェブサイトのタイトルとディスクリプションまで担当し、挙句の果てにはSEO対策用のサイト一つ丸ごとライティングしたりコールセンターのスクリプト作ったりもしてましたね。

それでいて新商品のコンセプト設計開発チームとの処方の相談営業チームとのツール制作キャンペーンの組み立て売り上げの管理アクセス解析も触ってました。というかこの辺の方が中心。通販の割合が大きかったので、D2Cビジネスにどっぷり浸かったことも今となっては貴重な財産です。

先述の通り、弊社は「コンサルティング業」に分類するしかないので、そのようにご紹介してしまうと何かこう澄ましたエリート気取りの勘違い野郎(誰それ)みたいに見えたりすることもあるのかもですが(仮にそうなったとしたらてめえのパーソナリティのせいじゃね?)、振り返ってみて改めて確実に言えることは、僕はゴリゴリの「叩き上げ」だということ。

やるべきことをその時々で泥臭くやり切ってきたからこそ、経営者やブランドマネージャーの方々からの多様な投げかけや問いを受け止め、(外してしまうことは勿論あるにせよ一定の確度で)適切な球を投げ返すことが(どうにかこうにか)出来ているのだと思います。

知識として吸収しただけのものを我が物とできるような都合の良い器用さは残念ながら持ち合わせておりませんのですよ。ハイ。

ていうか本質的なレベルでそんなことできる人いるの? いらっしゃったら教えてください。「良いなあああ羨ましいなあああ」ってこんな顔して言います。↓

戦略士+伴創者の誕生⇒今後

そんなようなことを振り返っていた、一目見たらそのボロッボロさを誰もが忘れない僕の愛車(チャリ※現存せず)で朝ごはんも食べずに外を走っているとき、ずーっと探してたある問いの答えにたどり着いたのです。

その問いとは、先程ご紹介した僕の肩書、「戦略士/伴創者」の「適切な英訳は何だ?」というものです。

「戦略士」の方は端的に「Strategist」で良いと思うんです。実際そう記載した名刺も持っています。一般用語の「戦略家」だと「性格」としての意味合いを持つ(あいつ戦略家だよなー、的な)ので、「職務」を表すために「士」と調整しているものの、英語に違和感はありません。

問題なのは、「伴創者」の方。こちらは完全な造語なので、適切な英語表現が見つかりません。「co-creation」という単語は存在するのですが、これはどちらかというと「共創」に当たり、ちょっと(かなり?)ズレてしまう。

これが気持ち悪くて英字の肩書がありませんでした。せっかく一緒に仕事をしている方(とある企業のブランドマネージャー)からも「まさに伴創者だよね」と太鼓判を押していただいているのに。日本企業の方で良かったでホンマ。

僕が得た回答は「Creating Partner」です。「創る人と共に創る相棒」という意味合いからズレが無いように思います。イメージは、テニスにおけるヒッティングパートナーですね。

テキストとして配置してみましょう。

和)戦略士/伴創者

英)Strategist / Creating Partner

うん、クラフトから叩き上げられてきたという自分のルーツを踏まえた肩書にもなっているように思えます。

ちなみに文法的な正しさを確認してはいないので、もしかしたら不自然な表現だったりするのかもしれません。が、ここで重要なのは「正しさ」以上に、「座り」です。

何よりこの手のものは常にβ版なので、来年どころか数か月、何なら数日後には違うことを言っている可能性もあります(笑)。そもそもキャリア自体が永遠のβ版なのですから。(実際、第二創業時に領域が大きく拡張されました。)

ともあれ今回はこの辺で。7,000字お付き合いいただき本当にありがとうございました。引き続き叩いて上げて参ります。

独立と4度の転職を含む20年の職歴を支えた座右の書

僕がこれまで立場や肩書を変えながら、その都度必要なスキルやノウハウを身に着け、曲がりなりにもプロとして仕事をしてきた過程で、無数の書籍を参考にしてきました。

その中から、特に学びの多かった数冊を厳選して、ご参考までにご紹介しておきます。

特定の業種や職種ではなく、割と広めにデスクワーク系なら何かのヒントになりそうなものを選んでみましたので、宜しければお手に取ってみてください。

「大学の教科書的なやつかな?」「学者の机上の空論かな?」と思ったら良い意味で予想を裏切られた一冊。

世の中で成功事例として知られている競争戦略を、一つ一つ紐解き、成功要因の本質を見事に解明して見せた不朽の名作です。

これを読めば、有名な成功事例が一般的に語られているほど簡単に成立している訳ではないことが良く分かる、オフィスワーカー必読の良書。

「コンサル限定の本かな?」「小手先のテクニック集かな?」と思ったら良い意味で予想を裏切られた一冊。

課題解決やチームワーク無しで進められる仕事の方が少ない世の中、どんな職場でどんな業務にどんな立場で関わっていとしても役立つ「仕事の基本」が満載。

一年目に読んでおければ最高だけど、何年目だろうと読んで損は無い。ていうか有益。僕は今でも時々読み返して学び直してます。

デザイナーのための本かな?」「クリエイターの自慢本かな?」と思ったら良い意味で予想を裏切られた一冊。

「アートディレクター」として書かれている部分を「●●統括」「●●マネージャー」「●●ディレクター」などの一般的な職種に置き換えて読めば一気に自分事化が進む。

物事の真理を見つめ、うまく回っていない箇所を見つけ、適切に機能するように整える。そんなことが求められる仕事をしているなら一読の価値あり

コピーライターのための本かな?」「クリエイターの自慢本かな?」と思ったら良い意味で予想を裏切られた一冊。

広告だけでなく、あらゆる情報や、商品そのもの、サービス自体すら、全て送り手から受け手へ何かを伝えようとするコミュニケーション。

その本質を基本から応用、具体的な事例までコピーを通じて網羅してくれている親切極まりない良書。コピーの参考書としてもこれ一冊あれば良い。