Life Design - Health

幸福に生きるための戦略的健康

※このページは工事中です(言ってみたかった)※今後もずっと(科学は常に進歩しており、僕も日々学んでいるため)

はじめに

健康と幸福の人生戦略

まずは現時点での、僕自身の健康や幸福、ひいては人生そのものに対する基本戦略を示しておきます。要点はシンプルで、以下の3点にまとめられます。

人は何かと「生きる意味」「生まれてきた意味」などというものに思い悩みますが、そもそもそんなものはありません。

ヒトだろうがイヌだろうがミジンコだろうが、単に遺伝子を運ぶ入れ物に過ぎず、「必然的に生まれてきた個人」など原理的に存在しません。「何のために生まれたきたのか」という問いなんて自意識過剰の極致と言えるでしょう(笑)。

従って、個人の人生に意味なんて無くて良いのです。そんなものに悩んだところで時間と労力と精神力の無駄でしかありません。一人一人が、幸せに生きて、最期に(自分の中で)満足して死んでいくことができれば、それだけで必要十分なのです。

それでも尚、この世の生き辛さには困ったものです(笑)。この「人生の難しさ」は、ヒト(を含むあらゆる生物)が「種の繁栄」を目的にプログラムされているにも関わらず、「種の繁栄それ単体」では「現代人の幸福」に直結しない点にあります。

つまり、健康さえも幸福とは直接結びつかないのですが(笑)、ただ、不健康な状態は思考も感覚も感性も判断も鈍る(ひいては狂う)ため、「本来感じられるはずの幸福に気付くこと」すら困難に、あるいは不可能になります。

また、「自由」は多くの人に共通する幸福の要素だと思いますが、不健康は自由阻害するため、少なくとも健康でないというだけで幸福度が低下することになります。もちろん金銭的余裕や、人とのつながりも重要ですが、これらをどの程度必要と感じるかは個人差が大きく、コンディションにも左右されるでしょう。

そのため、まず健康で一定の自由を確保した上で、お金や絆を含む「既に持っている幸福」をもれなく感じられれば、必然的に幸福度は上がります。幸福を感じるために必要となる金銭やつながりの量も減り、結果、生きること自体が楽になり、日々が楽しくなる訳です。

(不)健康の個人史

僕が健康を人生の最優先事項に設定したのは2023年ですが、それ以前も比較的、健康を意識した生活を送っていました。それは生まれつき「身体が弱い(と思っていただけで本当は僕自身の誤認だったのですが)」からです。

お腹から腸がはみ出した状態で生まれ(今も腹部に痕跡があります)、アトピーと喘息を持っていました。小学校時代は1か月に1度は風邪をひき、もれなく扁桃腺が腫れ高熱を出し、必ず気管支炎を併発し、毎回1週間は寝込んでいたため不登校を疑われていました。

中学以降は体調も比較的安定するものの、高校時代は(好きな娯楽に逃げているその瞬間以外は)何もかもが全く楽しくなく、今思えば「現代型(若年性)うつ」と呼ばれるものだったのでしょう。これは社会人2年目くらいまで(約10年間)引きずります。

大学時代にはアトピーが再発し、痛みの余り上半身は服が着れない状態にまでなった時期もありました。高校も大学も遠方だったとは言え、通学だけで疲弊しきっていました。人生で最も体力が有り余っているはずの時期にも拘わらず。

就職で上京し一人暮らしを始めた際には、最低限の栄養バランスを担保すべく、玄米+卵+納豆+ヨーグルト+マルチビタミン&ミネラルのサプリの朝食を15年くらい続けていました。タバコは一切、お酒も数年間、飲み会の時だけ飲む程度にしかやりませんでした。

にも拘らず花粉症を発症し、皮膚炎と冷え性とともに持病となり、20代前半にして急性胃腸炎で運ばれて緊急入院したりもしました。幸いなことに大きな病気には罹りませんでしたが、慢性的な不調はずっと抱えていました。

どれだけ筋トレをしても筋肉は大きく発達せず、負荷を上げればケガや風邪に悩まされました。ジョギングを続けてみても持続力は上がらず、むしろ関節と呼吸器の具合が悪くなる始末です。

独立したタイミングでいよいよ身体が資本だという認識が高まるとともに、生産性の向上が一層重要になったため、糖質制限を試し、筋トレの改善策を模索し続けました。しかし持病は悪化する一方で慢性的な頭痛も加わり、頭の天辺から足先に至るまで様々なアレルギーも併発、不眠症にまで悩まされるようになりました。

そんな中ようやく人生で初めて筋肥大にだけは成功し歓喜したのも束の間、胃腸の不調が続いた後に高熱を伴う急性腸炎(通常あり得ない)で救急車を呼ぶ羽目に。深夜に4時間も受け入れ拒否された末どうにか入院すると、慢性腎不全寸前の状態であることも判明します。

何をやっても「身体が弱い」ことに足を引っ張られ続け(ていると感じ)、無力感と絶望感に打ちのめされました。「身体が強」ければ、どんなに人生が楽だっただろうと呪いました。こんな状態では、誰と時間を過ごそうが、どれだけ能力を伸ばそうが、どんな仕事でいかに成果を上げようが、(一時的にはともかく)幸福な人生など送れるはずもありません。

振り返ってみれば、総じて現状理解が甘く、知識も不足していたため、対策が場当たり的で、本質的な戦略が欠けていたと言えます。ビジネスにおいては戦略に関して価値を提供し続けている僕ですが、自分のことでは、さらに健康領域では、その経験や能力を全く活かせていなかったことに気付かされました(笑)。

慢性腎不全の恐怖

僕の考えと、何より行動が変わったのは、腸炎の治療後に取り組んだ、慢性腎不全の回避がきっかけでした。なのでまずは、慢性腎不全について簡単に説明します。

腎不全には急性と慢性があり、急性は一時的なものなので治療が可能で、治療に成功すれば腎機能は回復します。一方、慢性化した腎機能の低下は回復することがありません。

多くの人にとって、腎臓は「尿を作る臓器」くらいの認識だろうと思いますが(僕もそうでした)、人体の恒常性維持に、というか「生命維持そのものに極めて重要な役割を、直接的に担っている臓器」です。

ナトリウムやカルシウムなどの電解質を調節し神経伝達や筋肉の収縮など多くの生理学的プロセスにおいて重要な働きをしていますし、酸塩基平衡を維持し血液の酸度やアルカリ度を正常に保つことで代謝プロセスや酵素活性にも大きな影響を与えています。

多くのホルモンを司ってもいて、血管を収縮・拡張させるホルモンを分泌し血圧を調節することで心血管系統の健康を維持しており、エリスロポエチンというホルモンの分泌では赤血球の生成を促進し効率的な酸素の運搬にも寄与しています。

そもそも、尿を作ること自体が、血液から余分な水分や老廃物を取り除くことで水分量を調節しながら、必要な物は再吸収しつつ、有害物質だけを体外に排出するという非常に難易度の高い処理であり、生命維持に不可欠な機能です。

そんな腎臓の機能が低下すると、老廃物が体内に蓄積され、電解質や酸塩基のバランスが崩れ、高血圧の悪化や貧血が発生し、これらが複合的に影響することで、致命的な合併症に至りますそのため腎機能の低下に対しては、慢性化する前の、早期における診断と治療が不可欠です。

腎機能を表す指標にはeGRFというものがあり、90以上で正常とされ、健康な人であれば100以上にもなります。この値が3カ月連続で60を下回ると慢性腎不全と診断されるのですが、僕は2カ月連続で51程度だったので、崖っぷちに立っていることを意味していました。

慢性腎不全になると回復は見込めないのですから、進行すれば(腎移植を行わない限り)人工透析が不可避です。人工透析は週3回、1回につき5時間程度を要し、生涯にわたって継続する必要があるもので、QOLの大幅な低下は免れません。

また、人工透析は治療法ではなく生命維持法に過ぎないため、繰り返しになりますが、どれだけ行っても腎機能が回復することは無いうえ、様々な合併症により失明や四肢の切断、挙句の果てには5年以内の死亡率が4割というのが現実です。

要するに、僕はさんざん健康に悩まされ、ずっと(あくまで自分なりにではあるものの)健康に気を遣って生きてきたのに、何の甲斐も無く、容赦も無く、知らない間に、紛れも無い命の危機に瀕していたのです。(繰り返しになりますが、その元凶は自らの無知です。)

戦略士の立ち回り

この理不尽な運命(と当時の僕は思った)に絶望しつつも、幸い(?)諦めの悪い僕は、抵抗を試みました。だって腹立つじゃないですか。想像してみてください。このまま終わるの癪でしょ(笑)。

加えて、ここで僕が諦めてしまったら、深夜に4時間も受け入れ先を探して電話をかけ続けて下さった救急隊員の皆さんや、外来が始まる寸前に受け入れて下さった救急外来の先生方にも申し訳なさすぎます。

具体的には、「本当に腎機能は回復しないのか」「慢性化の基準は絶対なのか」「eGRFによる腎機能評価は確実なのか」という前提条件を疑うことから始めました。戦略立案の基本であり、戦略士(ストラテジスト)の本領発揮(?)です。

そもそも、eGRFの数値だって、基準値を下回っていたと分かっているのがたまたま少なくとも2か月前からだったというだけであって、それ以前から50台だったかも知れません。慢性的にじわじわと低下していたのでしょうから、むしろ60を切ってから3カ月以上経っていた可能性の方が高いでしょう。

だとしたら、既にいつ死んでもおかしくない状態な訳ですから、前提条件を疑わない限り死を甘んじて受け入れるしかありません。生きたいなら前提を崩す必要がある、言い換えれば、前提を崩せれば生きられる、ということです。

山ほど検索し、専門サイトを読み、解説動画を視聴し、書籍を漁りました。eGRFは既に基準値を(明らかな範囲だけでも)2カ月連続で下回っているのですから、「慢性」と診断されるまで猶予は1ヶ月しかありません。大学入試ですら3週間しか勉強しなかった僕が、人生で最も勉強した1ヶ月だったと思います(笑)。

今でこそ「(笑)」などと付けて振り返ることもできますが、当時は暗澹たる気持ちで、常に死の恐怖と共にありました。プラスの可能性のあるものは試せる限り試し、マイナスの危険性のあるものは出来る限り排除し、身体の反応を見ながら情報を探し続ける日々。

僕が辿り着いたチョークポイント(ここを攻めれば一番効くという箇所)は、「慢性炎症」でした。腸炎も腎機能低下も、あくまで慢性炎症が表出した形の一つに過ぎないのではないか、という仮説です。以後、「慢性炎症の解消」に狙いを定めて戦略を立案し、対策を実行していきました。(具体的な対処法は後段で詳述します。)

そして3カ月目の血液検査で、基準値を超える64まで回復し、無事に慢性化を回避。今までの、どんなテストの高得点より嬉しかったです(笑)。検査結果を聞いて病院を出たあとに見上げた青空が、昨日までとは比べ物にならない透明度で輝いていたのを鮮明に覚えています。

これまでビジネスで培ってきた、課題抽出・仮説設定・戦略設計・戦術企画・実行・検証・改善の各能力をヘルスケアに応用できたことはとてつもない幸運でした。言い換えれば、これらの能力が確かな形で叩き上げられていたからこそ、今こうして無事に生き延びている訳で、マジこの仕事してて良かった(笑)。

もしかして:解脱

そして気付いたのです。僕は「生かされている」のだと。

急に宗教みたいな書きっぷりになって大変恐縮なのですが(笑)、これは科学的(物理的あるいは医学的)事実で、構造上にも明らかな、客観的に観測される、純然たる現実です。

腸炎で入院したことで、僕は腎機能の低下に気付くことが出来ました。言い換えれば、腸が腎臓の(即ち命の)危機を教えてくれたことになります。

腎機能の回復は「慢性炎症の解消」というアプローチで実現した訳ですが、この慢性炎症も、実は以前から身体が伝えようとしてくれていました。花粉症などのアレルギーや不眠症などの不具合一つ一つがサインだったのです。

事実、慢性炎症の解消によって、花粉症・不眠症・慢性頭痛・胃腸の不調は完治、その他のアレルギー(主に皮膚症状)も圧倒的に軽症化しました。抗アレルギー薬・睡眠薬・頭痛薬・胃腸薬など飲み薬はは今では全く使っておらず、塗り薬の量も減り続けています。正に慢性炎症は万病の元であり、僕の身体はそれを数多の手段で表現していたんですね。

そんな重要なメッセージを、僕は受け取るどころか、「身体が弱い」などと誤解し、実質的に無視していました。その結果として、慢性腎不全寸前まで至ったのです。身体は、僕が晒されている健康リスクを適切に感知してくれていたのに。

僕の身体は弱くなんかなく、むしろ健康リスクを見過ごさない、「健康性能の高い身体」だったのです。身体は僕の足をひっぱってなどいませんでしたし、僕の不調は理不尽でも何でもありませんでした。ただただ僕が無知だったのであり、それに起因した対応不足による必然的な帰結でした。

そうと分かれば後は簡単です。僕自身が、自分の身体の声をちゃんと聴けるようになれば良いのです。身体の声に耳を傾けるという姿勢を持つのは当然として、その「声」が何を意味しているのかを理解できるだけの、そしてどう対応すれば良いのかを検討・選択できるだけの知識も不可欠です。

慢性腎不全を回避できたのは、この姿勢と知識を身に着けたからに他なりません。僕はようやく、自分の身体の真価に気付き、本来のスペックを引き出すスタートラインに立つことが出来ています。ビジネスだろうがヘルスケアだろうが、戦略の立案・実行・改善には、正確な状況把握・広範な知識・的確な判断力が必要ということを腸が教えてくれたと言えます。

全ては急性腸炎のおかげでした。「闘病」などという言葉がありますが、病は「闘う相手」なんかではなく、身体が発してくれている重要な「メッセージ」なのです。(ビジネスにおいて、何かの変化がシグナルなのかノイズなのかを見極めることが極めて重要である点にも通じるところがありますね。)

したごしらえ

鎮火を楽しむ

「慢性炎症の解消」によって腎機能に加え、多くの人が抱えているであろう花粉症などの各種の持病を回復させたことは前段で述べました。ここでは、具体的な方法論について紹介します。

よく友人知人から「何をどうすれば良いのか」と聞かれるのですが、これが意外と、上手く説明するのが難しいんですよ。人体は、様々な要素が密接かつ相互に影響し合う典型的な「複雑系」で、AならばBという単純な因果が結びつかないためです。

あと、自分がやっていることに関しては自分の中で当たり前になり過ぎていて、詳細を忘れて行くんですよね(笑)。そこで、今まで明確に記録していなかったものを、一度ちゃんとまとめてみようかという試みとしての側面もあります

ここでも基本構成としては端的に言語化でき、3点に要約できます。

冒頭で述べた通り、あくまで「幸福のための健康」です。(僕も含めて)人は「健康のために生きている」のではありませんから、幸福度を下げてまで健康を追求するのは本末転倒です。当たり前ですが(笑)。

一方で、「健康のためだからと言ってそこまで出来ない」というリアクションも頻繁に観察されます。では今、無意識に行っている何らかの不健康な習慣があったとして、「それ」は命をかけてまでやりたいことなのでしょうか。あなたは「それ」のために生きているのでしょうか。

僕が日々実行していること(例えばファーストフードを食べないとか)を見聞きした人から「ストイックですね」「人生の楽しみは無いの?」などと言われることがありますが(笑)、僕は命がけでファーストフードを食べたいとは思えませんし(笑)、やりたいことをやりたいようにやっているだけですので、禁欲的どころか、むしろ享楽的です。

「やらなきゃ」というような意志の力は使っていないのでストレスも疲労もありません。それどころか、健康になることで幸福度が勝手に上がっていくので、当然ながら楽しい訳です。仕事も、趣味も含めて、人生の充実度が以前よりも遥かに増しています。

意志の力を使わずに、習慣として無意識的に継続できる状態を作ることが重要で、そのためには、効果が出る行動を低負荷で行う工夫が必要になります。この基盤が出来てしまえば、後は手洗いや歯磨き、何なら着替えと同レベルで継続できます。

僕の場合は、その基盤作りの初期段階で「生きるか死ぬか」の状態にあり、ヒトとして最も強く動機づけされていたことが、難なく習慣化に至った背景として大きかったかもしれません。人間、何が幸いするか分かりませんね。本当に僕はラッキーだなと思います。

科学的根拠で遊ぶ

具体的な紹介に入る前に、「科学的根拠」について触れておきます。いわゆる「エビデンス」というやつです。

世の中には様々な健康情報が溢れていますが、その内容は玉石混淆で、客観的に確からしさを検証できるもの(大学が発表し学会によって検証された論文など)から、個人的な意見に過ぎないもの(特定の食品を食べたら特定の病気が治った体験談など)まで様々です。

僕は自分が採用する方法論を選ぶ際に重視しているのは、その「確からしさ」です。「エビデンスの強度」と言ったりするものです。これを重視する理由は、自分の身体で再現できなければ意味が無いからです。何しろ、そのままだと死んでしまう状況だったのですから(笑)。一か八かに掛けていては助かるものも助かりません。

なので必然的に、研究論文として発表され、その内容が第三者によって検証されたものが対象となります。とは言っても、能力的・時間的な制約から、世界中に溢れる論文の原典に当たって自分で確かめてはいられません。エビデンス強度を確認するために生きている訳でもありませんからね(笑)。

そのため僕は、複数の論文に基づいて、専門家によって執筆された書籍を主要な判断材料としています。一言で研究論文と言っても、その信頼性にもまた差がありますので、専門家が信頼できると判断した複数の論文に基づいて書かれた書籍で、一定の信頼性を担保しようという訳です。

また、出来る限り多数の書籍に当たることで、情報や判断基準に偏りが生じにくいようにも注意しています。真っ向から対立するエビデンスも無数にありますし、それらの中から都合の良いものだけを選べば、著者は自らの主張を好きなように補強できてしまいます。一つのデータですら、解釈の仕方で結論が正反対にもなり得ます。「科学的根拠」「エビデンス」という言葉は一般化しましたが、実は非常に曖昧でもあり、扱いには注意が必要なのです。

参考文献については末尾に記載しておりますので、興味のある方はご一読されると良いかと思います。ご自身で読まれることで上記の複雑な現実を実感されるでしょうし、ご自身で咀嚼されることで、僕とは違った結論に至るかも知れません。それは唯一無二の学びとなり、あなた自身を助けることになると思います。)

このようにして僕は出来る限り「確からしい情報」の中から、自分で無理なく試せるものを試し、身体の反応に真摯に耳を傾け、良い実感が得られたものを残す、というプロセスを経て、幸福度を上げ続けています。

この過程自体、結構楽しいものです(笑)。ゲームで新しいキャラクターやアイテム、技や魔法をゲットしていく満足感や、スポーツでフォームの改善や新しい技術の習得によって成績が上がっていく達成感に近いですね。

本ページの冒頭で述べた通り、個人の人生に意味なんてありません。幸福を追求するゲームに過ぎないと言っても良いでしょう。プレイヤーはあなた。操作するキャラクターはあなた自身。最初のスライムに行く手を阻まれ死んでしまうのか、広い世界を好きなだけ旅して回れるのか、全てはあなた次第です。

当たり前が難しい

ここまで結構な文字数を使って前振りをしてきた中、月並みな結論で恐縮なのですが、健康を実現する(=慢性炎症を解消する)ための基本要素は、「食事・運動・睡眠」の3つです。多分聞いたことありますよね(笑)。

でも、具体的にどうするかを知っている人は多くないはずです。知っていても、実行している人はさらに少ないでしょうし、習慣化できている人は殆どいないと思います。何せ、これだけ健康情報が充実している今の日本で、がん、腎不全、うつなどを発症する人が溢れている(何なら発症率は増加している)のですから。

不適切な食事・運動・睡眠が、肉体的・精神的に、どれほど悪影響を及ぼしているかを示すエビデンスは枚挙に暇がありません。同時に、食事・運動・睡眠によって、どれだけ心身の健康が増進されるかのエビデンスも膨大に積み上がっています。

自分にとって必要な情報を得、適切に対処することで、食事・運動・睡眠と真摯に向き合えば、高額な医療費を払わなくても、通院や治療に時間と労力を浪費しなくても、がんも腎不全もうつもリスクを低減できますし奏功すればそれら全てと無縁の人生を送ることも夢物語ではないでしょう

ケガや急性の疾病の治療は医療による対処療法が得意とするところですが、慢性病については、食事・運動・睡眠という、基本的な生活習慣こそが、根本治療のカギを握っているのです。

ただ、ここで注意が必要なのは、前項で述べた通り、どれだけ強力な科学的根拠であっても、特定の個人に対する有効性を保証してはくれないという点です。どんな研究であれ、対象や期間などの条件を絞り、その範囲内で相関関係を見るというのが基本的な形だからです。

つまり、そもそも殆ど全ての「科学的根拠」は「因果関係」ではなく「相関関係」に過ぎず、それすら「統計的に有意」という範疇でしかありません。つまり、科学的根拠に基づく選択を実行しても、確実に成果を得られるとは限らないのです。

そのため、行動計画の基本構成としては「試行錯誤」が最適解となります。試して検証、成功すれば継続、失敗すれば分析、修正して再び試す。この繰り返しで、自分に合う自分なりの回答を自分で見つける訳です。また、自分の体質すら変わっていくので、観察し続けることも必要です。可能な限り選択肢と機会を用意し、試行回数を増やすのです。

「面倒だ」と思いますか? しかし僕たちの身体は、僕たちのために、休むことなく働き続けてくれているのです。例えばいつも目にする僕たちの皮膚は、常に外敵から僕たちを守るために機能を維持し続けてくれています。僕たちが一切の関心を払わなかろうと、どれほど肌に悪い生活をしていようと。

脳も内臓も骨も全てが、それら自身のためにではなく、僕たちのために存在し、働いてくれているのです。その恩に報いるかどうかは勿論僕たちの自由ですが、労をねぎらうことすら怠った報いを最終的に受けるのは、僕たち自身であるという現実からは逃れられません。

これさえやっておけばいい、あるいは、こうすれば必ずこうなる、というような、都合の良い唯一解は存在しないのです。(ここまでの話全て、ビジネスと似てますよね。ともに単純な因果律が働かない複雑系である以上、自然なことだと思います。)

Tonally Being.

食事

あなたは食べたものでできています。ていうか、食べたものでしかできていません。

材料の質は、当然、モノの品質を左右します。粗悪な鉄で出来たエンジンは出力が上がりませんし、純度の低いシリコンを用いたCPUの処理速度は落ち、何より壊れやすく長持ちしません。人間の内臓や脳も同様だと考えれば、健康における食事の重要性がイメージしやすいのではないでしょうか。

加工食品であれば最低限、何が使われているのか、食品成分表での確認が必要です外見と氏名だけで結婚相手を決める人はあまりいらっしゃらないかと思います(笑)。性格、仕事、収入など、内側まで理解してから判断するはずです。食べ物は「あなた自身」になるものなのですから、「パートナー」以上に良く知ってから選ぶのが自然でしょう。

未加工の食品についても、野菜なら産地や農法、肉や魚なら飼育環境や飼料について出来る限り情報が分かるものから選びたいところです。肉一切れとっても、育った環境によって、その質は大きく異なり、毒にも薬にもなるからです。

という訳で、毒=排除したい「炎症の原因」と、薬=採用したい「抗炎症作用のあるもの」を挙げていきます。(ただし、タバコやアルコールが排除対象なのはもはや当たり前すぎるので割愛します。)

排除したい「炎症の原因」

精製糖:血糖値を急激に上昇させ血管内から全身に炎症を引き起こします(糖尿病が全身に合併症を引き起こすのは血糖値を下げれないためです)。血糖値を下げるインスリンの分泌で酷使される膵臓や副腎が疲労することで慢性疲労を始めとする全身の不調や、血糖値スパイクにより脳機能の低下や精神の不安定化を招いたりもします。代表的なものは白砂糖で、白米や小麦などの白い精製穀物も人体にとっては同様の悪影響をもたらします。

粗悪な(特に植物性の)脂質:全身の炎症、心血管疾患、肥満などの大きな要因となり、糖尿病の原因が粗悪な脂質であると示すエビデンスも存在します。トランス脂肪酸が代表的で、食品としてはサラダ油(内訳として大豆油、菜種油、パーム油、コーン油、キャノーラ油など)、マーガリン、ショートニング、ファットスプレッドなどが挙げられます。特に加熱されると酸化し毒性が増します。意外なところではごま油や、オリーブオイルも決しておススメは出来なさそうです。

レクチングルテン:グルテンがその一種であるレクチンは細胞間の結びつきを弱めリーキーガットやリーキーブレインを生じさせ、全身に慢性炎症の原因を撒き散らす上、分解の過程で依存性物質まで発生する毒物です。アレルギーや過敏症は関係ありません。全粒穀物や種子類、未発酵の豆類、ナス科とウリ科の植物に大量に含まれます。ポジティブなエビデンスが多い食材もありますが、代替可能なので、特にデメリットが大きいグルテン含有食品は除いた方が賢明でしょう。

カゼイン(+乳糖):カゼインは乳に含まれるたんぱく質で、体内でグルテンと似た悪影響を及ぼします(もちろん物質としては別物です)。こちらもアレルギーとは無関係。乳糖は乳に含まれる糖類で、乳糖不耐症でなければ問題が無いとされてはいますが、そもそも摂取メリットが無いのでカゼインと一緒に避けておけば良いかと。牛乳はもちろん、チーズやヨーグルトなどの乳製品にも含まれ、小麦と組み合わさったパンや、さらに精製糖まで大量に含む菓子パン・ケーキ類は凶悪です。

人工甘味料・化学調味料・添加物:これら人工物は動物実験で成分単体での安全性を確認されたものが認可の上で使用されてはいますが、複数同時かつ長期継続摂取の影響はそもそも全くの不明です。その上、慢性炎症だけでなく、発がん性など個別の疾病に対するリスクが示唆されているものも多く存在し、人工甘味料は砂糖以上に糖尿病や認知症などのリスクを高めるものもあります。基本的には食品製造業者が利益を追求するために作ったものだという前提の理解が重要です。

高温調理されたもの:揚げ物や炒め物のように食材が高温になる調理法は、酸化物や糖化物が増え、炎症の原因となるため避けることが望ましいとされています。また、抗酸化物質の多くは加熱によって機能が損なわれてしまいます。が、食材によっては火を通した方が吸収率が上がるものもあるため、そういったものを加熱する際には、蒸す、茹でる、煮るなどの、高温になり過ぎない方法を選ぶようにすると良いでしょう。

※結果、多くの超加工食品(コンビニ・スーパー・デパ地下の弁当や総菜、冷凍食品、スナック菓子など)や外食(特にファストフードなどのチェーン店系)は必然的に排除対象になり、自炊が食生活の基本になります。

採用したい「抗炎症作用のあるもの」

植物性食品(穀物、ナス科、ウリ科、種子類、未発酵の豆類を除く):野菜、果物、海藻、キノコ類、ナッツ、スパイス、ハーブです。お茶、コーヒーを含みますが、個人的にはカフェインを含むものは避けています。特に野菜ではアブラナ科、果物ではアボカドやベリー類がおススメ。未加工のものが望ましく、加工度が上がるほど抗酸化力は落ちるようですが、発酵食品は例外。レクチンが分解されるうえ植物性乳酸菌も摂取できるので、大豆は納豆や味噌などの形が理想的な選択肢になります。

適切に飼育された(できれば天然・野生の)動物性食品:赤身肉や加工肉の発がん性、養殖サーモンの高濃度汚染は有名で、鶏肉や鶏卵、魚すら健康への悪影響を示すエビデンスが少なくはないようです。が、人類史を辿ればこれらの食品が本質的に有害とは考えにくく、現在の飼育環境(過密、成長ホルモン、抗生物質、不自然な飼料)が諸悪の根源と想定されうるので、放牧や平飼い、グラスフェッドなど質にこだわれば良質なたんぱく源。魚は有害物質が濃縮されにくい小型のものがおススメです。

良質な糖質生命維持に糖質そのものの摂取は不要という説は恐らく正しいものの、健康に有益な食品の中にも糖質を多く含むものが少なくないため、糖質を避けることを目的にしない方が体調は管理しやすい筈です。食物繊維やポリフェノール、各種ビタミンが豊富なサツマイモや人参、玉ねぎなどは、高糖質ではありますが、健康への貢献度が高く、代替も難しいようなので(総量には注意しつつ)積極的に摂りたい食品と判断しています。

良質な脂質:青魚に含まれるDHAやEPA、αリノレン酸が豊富なえごま油や亜麻仁油は抗炎症作用や血管の健康維持、脳機能の向上などに高い効果が示唆されており、否定的なエビデンスも(サプリを除けば)少ないようです。加熱調理には弱いため常温か調理後の添加が基本。加熱には動物性油脂が望ましく、特にグラスフェッドギーは抗酸化物質が豊富なうえ、カゼインや乳糖が取り除かれているのでおススメです。(ただし高温調理自体が調理法として望ましくないのは先述の通り。)

一部のサプリメント:基本的には、あらゆる栄養素について、サプリメントによる摂取は効果が無く、食材の形で摂って初めて体内で機能すると認識していた方が無難です。「健康効果がある食材の主な要因が特定の栄養素である」と分かっているにも拘らず、その栄養素だけを抽出したサプリメントだと、逆に健康に悪影響を及ぼす例も少なくありません(ビタミンA、ビタミンEなど)。

以上をベースに、色んなものを幅広く、バランスよく、適量を食べることが理想です。

運動

運動は様々な健康効果が認められており、筋肉と骨の強化ひいてはフレイルやサルコペニアの予防、柔軟性とバランスの向上によるけが予防、心血管の健康や適正体重の維持、糖尿病予防、慢性疾患リスク低減による寿命の延長、免疫システムの強化、ストレスや不安・うつの軽減などの精神的な健康の促進、睡眠の質向上、認知機能や学習能力といった脳機能の向上など、枚挙に暇がありません。

注意すべきは運動のし過ぎで、過剰な運動は活性酸素を大量発生させ炎症の元となり老化を却って加速させることにもなるので、適度な強度とボリュームに留めることも重要です。では適量はどれくらいなのかというとこれは個人差が大きいため一概は言えなさそうですが、1日5分や1週間に30分程度でも効果は認められているようなので、まずは少しで良いから身体を動かすことを意識しましょう。

ただし、健康の増進を目指す上では、肉体が負荷を感じる必要がありますので、心拍数や呼吸が上がる等、肉体が明らかに反応する程度の強度やボリュームを目安にすると良いのではないでしょうか。心拍数も呼吸も上がらないなら肉体にとって運動していないのと同じですし(笑)。心肺機能に個人差があるため、それを基準に運動強度を設定するのは理にかなっているように思えます。

有酸素運動と無酸素運動のどちらがどう良いのかについても様々な研究が報告されており、これまた一概には言えなさそうなのですが、ぶっちゃけどっちも健康に良いのは間違いなく、何より継続が重要なので、ゴチャゴチャ気にせずに(笑)、好みに合うもの、自分の生活習慣やリズムに無理なく取り入れやすいものを選ぶことの方が大事だと思います。

■有酸素運動ウォーキングやジョギングなど、長時間継続して行う運動です。自然の中でのウォーキングに強いエビデンスが多いように見受けられます。ジョギングは長距離、長時間やり過ぎないように注意が必要です。ヒトはそこまで走ることに適した構造になっていないようです。ちなみに減量と言えばジョギングというイメージがありますが、有酸素運動そのものの消費カロリーは微々たるものなので「走って痩せる」効果には期待しないようにしましょう。

■無酸素運動:ウェイトトレーニング、いわゆる筋トレが相当します。カッコいい身体を作る、ボディメイクを行いたい場合はこちらになりますが、健康の観点では極端な追い込みは禁物。維持でも増進でも、スクワットやプッシュアップなどの自重メニューで十分なようです。尚、自重で背筋を鍛えるのが難しいのですが、鉄棒のある公園を見つけて斜め懸垂から始めるのがおススメです。(いきなりノーマルの懸垂を行うと腕や肩を使ってしまって背筋に効かせにくいため。)

睡眠

肉体面、精神面ともに、あらゆるマイナス要素を減衰させ、様々なプラスをもたらす、「無形の万能薬」と言っても過言ではないのが睡眠です。記憶力と創造性を向上させ、抑うつや不安を解消し幸福感を高め、がんや認知症、心臓発作に脳卒中、糖尿病までもリスクを下げ、免疫力を強化し、スリムな身体を維持して外見まで魅力的にしてくれます。

ここまで来ると他の全てがハチャメチャでも、良質な睡眠さえ十分に摂れていれば健康は維持できるんじゃないかとすら思えます(笑)。にも拘らず最後に持ってきたのは、睡眠の改善が最も困難だと感じているからです。

食品を選んで食べれば食事は改善できます。運動も好きなものを選んで実行するだけです。が、睡眠は、眠ろうと思っても眠れなかったり、もっと眠りたいのに起きてしまったりします。意思があろうが行動に移そうが、改善できるとは限らないのが睡眠なのです。実際、睡眠にこだわりが強い人ほど睡眠に問題を抱えているというデータもあるようです。

ではどうするか。実際に不眠症を抱えていた僕が解消したプロセスは、「食事と運動を改善した結果として、良質な睡眠が付いてきた」というものです。具体的には、食事を改善したことで腸内環境が改善し、脳神経系が安定するとともに、運動によって肉体疲労が発生し脳と身体が休息を必要とした結果、睡眠の質と量が向上した、ということでしょう。

恐らくこれが最短ルートになるはずです。アルコールはもちろん、睡眠薬による睡眠も実は「気を失っているだけ」であり、脳や身体にとって本質的に「休息」にはならず、何の健康効果も得られない(むしろ逆効果ですらある)ため、ショートカットとして使えません。

「忙しくて寝れない」「寝る時間が惜しい」などと言っている場合ではないのです。むしろ「死ぬ気で眠る」「命がけで睡眠時間を確保する」くらいでちょうど良いと個人的には思っています(笑)。脳と身体が心置きなく休めるコンディションを、食事と運動で作ってあげましょう。

その上で、より入眠しやすく、睡眠の質を上げる工夫を重ねることは可能です。例えば以下のような方法があります。

日中にビタミンDのサプリを飲んでおく:高い確度で有効性が示唆されている数少ないサプリの一つで、睡眠の質を向上させてくれます。2000~5000IUくらいが摂取目安のようです。

日没後、部屋を暗くしブルーライトを避ける:良く知られた話ですね。ヒトが動物として本来持っているリズムを正常に保ち、夜になったら眠れるようにするのが目的です。ただ、日中まで過剰にブルーライトを忌避する必要は無いようです。僕は全てのディスプレイを常時ブルーライト低減モードにしてますが(笑)。

就寝1.5時間前くらいに入浴し湯船に浸かる:深部体温が下がっていく過程で入眠しやすくなるので、その事前段階として深部体温を上げておくと入眠がスムーズになります。シャワーだと効果が無いようです。免疫強化にも寄与するので、湯船に浸かりましょう。

寝室にデジタル機器を持ち込まない:これは上記ブルーライト問題に加え、脳に余計な刺激を与えて覚醒状態にさせないことも重要な目的です。ワンルームにお住いの場合はサイレントモードか電源をオフにした上でなるべく遠くに置いておくと良いでしょう。

就寝前にテアニンやメラトニンのサプリを飲む:入眠のしやすさや眠りの深さを改善する効果があるとされており、僕個人としても有効性の実感があります。睡眠にお困りの方は少量から試してみて、身体の反応を見ながら、必要に応じて徐々に増やしていくと良いかと思います。

重い毛布を使う:毛布が重い方が心理的に安心感が得られるというエビデンスがあります。重さをウリにした毛布も一般化していますので導入しやすいのではないでしょうか。ただ、洗濯などの取り回しに難がありそうなので僕は導入していません(笑)。

なるべく自然起床:起床時に、脳をアラームで叩き起こすと朝から早速リズムが狂い、1日中引きずってしまうようです。余裕を持って起きられるよう、早寝を習慣にしてしまいましょう。そのうち、自然起床も自然と定着し、日中の生産性も上がります。

起きたらすぐ朝日を浴びる:これも良く言われていますね。目から太陽光が入ることで、夜に眠くなるように1日のリズムが脳内でスタートします。そういう観点で、部屋の主要採光面は東か南が理想的ではないでしょうか。

※就寝前に特定の飲食物を摂取する方法論も存在しますが、内臓を休息させる観点からトータルでの健康にはマイナスになるはずなので僕は採用していません。

ケーススタディ

やらかしたこと・やれること

僕の様々な体調不良については導入部分で述べた通りで、もちろん遺伝的要素による影響はあると思われるものの、遺伝子は直接的にはどうしようもありません(笑)。

ですが、遺伝的要素が発現するかどうかは環境要因が関係しており、自分自身の環境要因については、今となってはある程度把握できていて、主に以下の3点が挙げられます。

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1)食材を大雑把にしか捉えていなかった

元々「野菜多め、タンパク質多め、炭水化物少なめ」を意識した食生活はしていました。食品パッケージの裏面にある成分表の類はチェックするタイプでもありました。タンパク質、脂質、糖質もザックリとは見ていましたし、カロリーだけを基準にはしていませんでした。

ただ、肝心の添加物やグルテンやカゼインなどの危険性についての認識が甘かったのが致命的でした。また、「野菜多めだからスイーツ食べても良いだろう」とか「朝食は脂肪になりにくいから菓子パンでも良いだろう」というような安易な「相殺」発想もマイナス要因だったと思われます。

2)健康に唯一解を求めていた

糖質制限や筋トレなど、健康に良いとされる生活習慣の情報はそれなりに収集し、志向に合うものを随時取り入れてもいました。が、「糖質さえ制限していればOK」「筋トレさえしてればOK」というような「免罪符」的な扱いをしてしまっていたため、却ってそれ以外の部分でマイナスが大きくなっていたことが考えられます。

また、その時々によって特定の方法論に偏りがちであったため、極端な生活になっていたことも大きな健康リスクだったでしょう。食事で言えば「ケトジェニック」だろうと「地中海式」だろうと、特定の極端な食生活が、そのままの形で特定の個人に対して長期的に安定した健康をもたらす可能性は低いという認識が必要でした。

3)身体のサインを体質のせいにしていた

「解脱」の節で解説した通り、あらゆる不調は身体の大切なサインであるにもかかわらず、「個人史」の段で紹介したように「身体が弱い」せいだと思い込んでいた僕は、己の行いの結果として結びつけることはありませんでした。

もちろん、健康になりたくて様々な健康法を試してはいましたが、それは「身体のマイナスに対応する」ためであり、「身体のマイナスは、その自分の行いから生まれている」とは思っていなかったので、「行いのマイナスを改める」という思考にならなかったのが致命的だったと言えます。

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多少なりとも自分にも心当たりがあるなぁ、と思われる方も少なくないのではないでしょうか。以上を踏まえ本章では、僕をサンプルとして、どのように対処した結果として「解脱」の節で述べたような変化をもたらすことができたのかをご紹介します。

尚、これらは「個人による一つの成功体験」に過ぎないことは確かですが、かと言って「たまたま上手く行っただけのただのまぐれ」ではなく、「科学的根拠に基づいた選択肢の中から実際に効果が確認された組み合わせの実例」です。

繰り返しになりますが、人体の健康は複雑系であり、複雑系の中で起きることは様々な要因が密接かつ相互に影響し合っているため、単純な1対1の因果では語れません。その上、体質や置かれた環境が一人一人異なることもあって、全く同じ選択をしたとしても、同様の効果を生む保証はありません。

そのため、前章で述べたような「理想論」を、現実に落とし込むために、試行錯誤を重ねて再現性を高めた方法論の、東アジア人における一例としてご覧頂き、ご自身で試行錯誤を行う際の参考にして頂ければ宜しいかと思います。

ただし、これから示す内容に極端に執着し過ぎないように注意が必要です。「正しい食事」に病的にこだわる「オルトレキシア」(いわば「健康食依存」)や、自分の筋肉作りへの強迫観念に囚われる「筋肉醜形障害」(いわば「筋トレ中毒」)などに陥ると、「幸福」から遠ざかります。本ページの冒頭で述べた通り、「幸福に生きること」こそが人生の目的だということを大切にしましょう。

食習慣あれこれ

食事については概ね、前章「食事」の節に記載した内容が基本となります。それ以外の部分を中心に、採用、継続している諸々を挙げてみます。

■食事回数

1日1.5食が基本。「食事回数を減らした方が良い」説と、「少量にして回数を増やした方が良い」説が真っ向から対立していますが(笑)、主な論点は、「オートファジーを働かせるなら回数を減らして空腹時間を16時間以上確保すべき、血糖値を安定させたいなら少量にして回数を増やすべき」ということになります。

両者を比較した場合、血糖値を乱高下させないなら前者のデメリットは無くなるため、精製糖や人工甘味料を摂らない前提で食事回数を減らすことを選択してみたところ、僕の身体には合っていたようです。

ちなみに、回数を減らそうが、空腹時間が長くなろうが、必要な栄養素が摂れていれば、かつ、精製糖や人工甘味料のような依存性物質を摂っていなければ、耐えがたいような空腹は生じません。「腹減ってんなぁ」「お腹鳴ってんなぁ」と冷静に観察できます(笑)。

食物の消化吸収が内臓にとって重労働である以上は栄養素が足りていれば身体が食事を欲するはずもなく、にも拘らず何かを食べたいと感じるとしたら中毒に陥っている脳の錯覚です。中毒症状からの脱却を優先した方が、先々の人生が楽になるでしょう。

■食事タイミング

続いてタイミングについてですが、ここでも「午前中は排泄の時間帯なので朝食は摂らない方が良い」という説と、「胃結腸反射により消化器のリズムを作る上で朝食は健康に良い」という説が対立しています(笑)。ともに理屈は理解できるので両方を試し、自身の身体で検証してみました。

結果、少なくとも僕の場合は朝食を摂った方が排泄のリズムが作りやすく体調が安定しやすいため、「軽い朝食+メインとしての昼食」という構成にしています。軽い朝食であれば胃腸の負担になっている感覚も無く、夕食を摂らない方が就寝時に空腹になり睡眠の質を高める(睡眠中に胃腸が休める)ことも大きな理由になっています。

時間は厳密に固定せず、あくまで空腹を感じたら食べるようにしていますが、おおよそ、朝食は6~9時、昼食は11~14時の間で、4時間程度の間隔を空けた上で8時間以内の枠で済ませ、睡眠時間を含めて16時間以上のインターバルを確保しオートファジーを促しています。

■食べ方

ながら食いは避けています。(ある意味において)パートナー以上に大切に選んだ食べ物なのですから。口に入れるものを目視し、舌触りや歯ごたえを感じ、咀嚼する筋肉の動きを確かめ、喉越しを楽しみながら、感謝を込めて飲み込みます。必然的に咀嚼回数が多くなりますし、同じ量を食べても満足感が段違いです。

マインドフルネスがもてはやされて久しいですが、その本質は行動それ自体(=今この瞬間)を意識すること。わざわざ瞑想しなくても集中して食事することで実現可能で、マインドフルイーティングと呼ばれています。耳は別の事をしていても問題無いようなので、ラジオなど音声中心の聞き流しできる情報源や、音楽を聴きながら食べています。

食事関連では、調理、食器洗い、歯磨きも、マインドフルネスをついでに実践できる行為としておススメです。わざわざ自動食洗器+電気代に費用を払いスペースを割くくらいなら、美味しい食事を楽しませてくれた食器に感謝を込めて洗うことで、瞑想の時間を別途設けることもなくマインドフルネスを日常に取り入れることが出来て一石三鳥です。

■朝食

起床後すぐに固形物は摂らず、まずは水または白湯のみで胃結腸反射を促しつつ、ノンカフェインのホットティを挟んで、改めて空腹(お腹を感じてから朝食を摂ります。僕のメニューはフルーツ+100%有機ダークチョコレート+有機ルイボスティ。

このメニューの根拠はアダムスキー式腸活で、「ファスト食材とスロー食材を混ぜない」「スロー食材の後は5~6時間空ける必要がある」という原則から、ファスト食材であるフルーツ(と合わせられるニュートラル食材)を朝食で食べると1日の食事構成が簡単になるためです。

フルーツはたいてい何でも健康に良いので好きなものを選べば良いと思いますが(笑)、総量が増えすぎないよう程々に。僕はベリー類(冷凍)がレギュラーで、時期や気分によってバナナ、みかん、キウイ、柿、デーツ、乾燥いちじく、乾燥レーズンなどを加えることも。選定基準は抗酸化物質と食物繊維の種類と量、そして味の好みです。柿とデーツ以外は基本的に有機です。

チョコレートも抗酸化力で採用した食材ですが、脂質とタンパク質も含んでいることと、硬い食感や苦みがベリー類と相性が良い点も高く評価しています。100%ダークかつ有機の物をネットでまとめ買いしています。小売店で買うと高いですからね…。

ルイボスティは抗酸化力に加えノンカフェインである点から採用しています。ハーブティも選択肢には入るのですが、そこは好みの範疇。ルイボスティは有機茶葉を丸ごとパウダーにした商品があり、アイスとホットが手軽に作れる点も高評価です。以前は有機ハチミツやフラクトオリゴ糖を入れていましたが、甘さが強すぎるように感じられ始めたので、最近はストレートで飲んでいます。

尚、豆乳ヨーグルトを食べていた時期もあります。ファスト食材と合わせられる貴重なたんぱく源かつ植物性の発酵食品である点と、レクチンのデメリットを排除した上で大豆の高い健康効果を美味しく享受できる点が素晴らしい。有機ハチミツやフラクトオリゴ糖、フルーツと一緒に食べていました。お好みで。

■昼食

主要な食材はイワシ、根菜納豆、アボカド、葉野菜、海藻、キノコ類、スパイスです。(ここでの根菜・葉野菜の区分は学術的な分類ではなく、一般的にイメージしやすい、可食部が地上と地下のどちらにあるかを基準にしています。)

イワシは食塩不使用の水煮缶を利用しています。ネットでケース買いして常備しておくと非常に楽ちん。健康への悪影響を示すエビデンスは魚にもありますが、小型のイワシを選ぶことで有害物質の濃縮を抑えています。続く根菜類と一緒に、缶詰の汁ごと味噌汁の具(出汁)にすることが多いです。

根菜類は糖質が多めな点から、イメージとして米の代わりという位置づけでしょうか。とはいえ主食という謎の概念(笑)は捨てています。ポリフェノールや食物繊維が豊富、食べ応えがある、純粋に味が好き等の理由から、サツマイモ、人参、玉ねぎ、ゴボウが中心で、しらたき(糸こんにゃく)も優秀な食材です。

味噌汁に使う味噌については、原料が「大豆+米+塩」のみのものを選びます。ゴチャゴチャと添加物が使われているものは発酵の手間を省いた味噌モドキのため論外です(笑)。麦が使われているものもありますが、グルテンの観点から敢えて選ぶことはありません。塩分を理由に味噌を避ける人がいますが、味噌は高血圧を引き起こさず、むしろ適切に安定させるというエビデンスが出ています。

スパイスは味噌汁に加えます。ターメリック、シナモン、コリアンダー、クローブ、クミン、ジンジャー、ガーリック、ヒハツをそれぞれ適量。仕上がりとしてはスパイシーでカレースープのようになりますが、チリを入れていないのでホットにはなりません。僕は「スパイス味噌汁」と呼んでいます。

納豆はひきわり。ひきわりの方が納豆菌量が豊富なためナットウキナーゼなど固有の成分を効率的に摂れるからで、単に食感が好みという理由もあります。遺伝子組み換えについて原理的に安全性に疑問が残るため、なるべく国産のものを選んでいます。特に北米産の大豆は積極的には選びません。

尚、付属のタレは勿論使いません。有機の酢(マザー入りのリンゴ酢バルサミコ酢、ザクロ酢など)と油(えごま油亜麻仁油)+藻塩を代わりに使います。下記のサラダの一部として食べるので、納豆のタレと言うよりは自家製ドレッシングですね。スパイスを加えることもあります。

アボカドはフルーツの中では珍しくスロー食材なので昼食に。葉野菜、海藻類と一緒にサラダにします。葉野菜はブロッコリースプラウトが最頻で、小松菜やケール、わさび菜など、有機で手に入りやすいものを。海藻は扱いやすさからとろろ昆布と焼きばらがスタメンです。とろろ昆布は添加物が多用されているものが多いので注意が必要です。醸造酢のみで作られたものを選びましょう。

キノコ類では生でも食べられるマッシュルームの採用頻度が高く、この場合はサラダの具になります。それ以外だと火の通りが早くて扱いやすい舞茸を選ぶことが多いのですが、こちらは加熱が必要なのでスパイス味噌汁に加えます。ともに有機のものが手に入りやすいことも高ポイントです。

以前は卵も平飼い限定で摂っていました。卵による健康への悪影響を示すエビデンスがあるものの、飼育環境で左右される可能性が高く、僕自身、普通の卵だと身体の反応が優れず、平飼いを試したところ比較的良好だったからです。が、除いてみると体調が一層向上したので常食していません。ニワトリは本来、虫を食べる生き物です。

排除したい食品を列挙すると「食べるものないじゃん」というリアクションが頻出しますが、上記以外にも、シーフードならシジミやエビやタコ、根菜ならサトイモや大根や蓮根、葉野菜ならキャベツやルッコラやスプラウト系、キノコなら椎茸やしめじやエリンギなど、美味しくて健康的かつ食べたいものは数え切れず、正直胃袋が足りないくらいです(笑)。

■サプリメント

どうしても食事だけで摂り切れない栄養素があるため、サプリメントで補完します。現時点ではビタミンD3、亜鉛、マグネシウム、乳酸菌、酪酸、テアニン、メラトニンの効果が実感できています。いずれもサプリメントによる摂取でも有効性が確認されてい(るエビデンスが多く存在)るものです。

摂るタイミングについてはメーカーの推奨に従うのが基本で、個人のライフスタイルに合わせて、摂り忘れしにくく負担が少ないように組み込めば良いかと。僕の場合は以下のような感じでしょうか。

ビタミンD3亜鉛、マグネシウム:いずれも健康維持において極めて重要であるにもかかわらず不足しがちと言われている微量栄養素で、免疫や睡眠に大きく影響します。僕の場合はこれらを補うことで明らかにアレルギー反応が治まり、睡眠の質が向上しました。夕方に摂ると特に反応が良いです。

乳酸菌有効性は腸内細菌との相性次第という実感です。なので選び方が難しく、2週間ほど続けて反応を見る、良さげなら継続、イマイチなら変更、という形で検証を繰り返しましょう。常在菌の声を(UNCOを介して)聴いてください。僕は食物繊維よりも先に腸内に届けておくイメージで、朝一の白湯と共に摂っています。(調子が安定してきたので、卒業するかもしれません。)

酪酸:腸内の酪酸菌に十分な量を作ってもらうのが理想ですが、どうやら足りていない(摂取するとUNCOやアレルギーの調子が向上する)ようなのでサプリメントで補完しています。朝一番の白湯朝食時に併せて摂っています

テアニン、メラトニン:睡眠の質を改善する目的で短期的に利用します。個人的にはかなり直接的に効くので、就寝30分前くらいに摂取。メラトニンについては間違っても日中に摂っては(有害性が示唆されておりいけないのと、副作用も指摘されているので長期の常用は避けた方が良いかも知れません。

あと、ほぼ「食材」なのですが(笑)、モリンガとスピルリナの100%サプリメント朝食と一緒に摂っています。これらはマルチビタミン&ミネラルの代用で、栄養バランスの底上げが目的です。多くのビタミンやミネラルに関してサプリメントによる摂取が無効あるいは有害ですので、モリンガ(木の葉)やスピルリナ(藻)という天然の食材だけを用いているものを選んでいます。

全てのサプリメントに共通することとして、ゴチャゴチャと余計なものが入っていないものを推奨します。特に国内はやたらと色んなものを入れたがるメーカーが多いようですが、サプリはあくまで必要な物だけに絞って補うように選ぶようにした方が無難です。混在していると成分ごとの有効性が判別しにくいですし、過剰摂取のリスクもあるためです。

加えて、カプセルに使われている素材や、基材(サプリメントの形状維持や嵩増し目的で使われる栄養成分以外のもの)にも注意が必要です。遺伝子組み換え作物や乳糖などの、食材として避けているものが使われていないものを選びましょう。ステアリン酸マグネシウムやシリカも僕はなるべく避けています。安全性に問題は無いとされているため多用されていますが、それ自体が人体に有害な物質であることは確かですし、不使用の商品も選びやすいので、無用なリスクは避けてしまえば良いでしょう。

■その他の食品

・水:ペットボトルの天然水を使用しています。アダムスキー式に準じて軟水です。日本の水道水は飲用に耐えるもので、それが蛇口をひねるだけで出てくることは素晴らしいことです。かと言って健康の観点で推奨されるものではありません。塩素や水道管の錆や鉛の問題もさることながら、水質基準が密かに緩和されてもいる(東京の場合)からです。

天然塩(藻塩、天日塩、岩塩)に限定。工業製品であり血圧や腎機能へ悪影響を与える食卓塩アジシオといった精製塩は摂りません。味噌に使われている塩に関しては「食塩」以上の内容が確認できない場合も許容しています。尚、塩についても味噌と同様、天然塩であれば血圧を安定させるというエビデンスがあります(それでも摂り過ぎには注意した方が良いかと思いますが)。

野菜や果物ジュースではなく食材の形で摂ります。腸炎からの回復期はブレンダーでスムージー状にして摂取していましたが、血糖値が上昇してしまうのを実感したため、消化機能が戻ってからは採用していません。ジュースとして販売されているもの、野菜や果物以外の何かが添加されているものは論外です。

ナッツ:無塩ローストの有機マカダミアナッツだけを適量食べます。脂質の内訳、レクチン、アブシジン酸、フィチン酸、酵素抑制物質などの観点を考慮した結果、唯一残ったのがこれで、実際に食べたあとの体感も良好でした高い健康効果で知られているナッツですが、妄信は禁物です。

・甘栗栗はナッツの1種でありレクチンフリーのため実は健康効果高めで、昼食の一部にもしています。手軽に食べられる有機むき甘栗が安価なうえコンビニなどでも入手しやすいのも利点。さつまいもに次ぐ主食系(?)食材で、保存や持ち運びの点ではトップでしょう。

レクチン加熱で無害化されるという説もあるのですが、僕自身の人体実験では(笑)、グルテン⇒ナス科の植物⇒オートミール⇒レンズ豆⇒未発酵の大豆⇒発芽玄米と(レクチンを多く含む食材を)抜くにつれ体調が良くなったので、少なくとも一般家庭レベルの加熱では無害化されていないと思われます。圧力鍋を用いれば可能という説もありますが、その場合は高温調理のため、揚げ物などと同様AGEs(終末糖化産物)という炎症の原因物質が発生するため別の健康リスクとなります。

プロテインパウダードリンク、スナックを含めて摂りません。タンパク質が健康維持(というか生命維持)に不可欠であることは間違いありませんが、外部から多量に摂取する必要は無いとする研究報告が増えてきているようです。剝がれ落ちた腸壁や、オートファジーによる体内組織の再利用がその根拠で、むしろ少量に抑えた方が身体の炎症レベルが下がるとのこと。

※腎機能とプロテイン:腎機能が低下していなければ無害という報告もありますが、腎機能が低下している悪影響があるということは、腎臓にとって負担になるのは確かなので、タンパク質の摂取方法が他にある以上はリスクを背負ってまでプロテインパウダーを採用する妥当性がありません。尚、プロテイン摂取と筋トレ効率との関連については有効・無効ともに論文が存在するようです。

■調理器具・キッチン家電

電子レンジやトースターは使っていません。電子レンジはマイクロウェーブによる食材への悪影響が否定しきれないこと、トースターはパンを食べないため利用頻度が低すぎること、いずれもAGEsを生成することから共に廃棄しましたが、何の不便も無いどころかキッチン周りのスペースが空いて快適です。

フッ素樹脂加工の鍋やフライパンは以前から長らく使っていません。腎機能への悪影響が指摘されているためです。尚、テフロンとして有名なPTFAは、有機フッ素化合物(PFAS)の一種で、PFASの中には2023年にWHOが発がん性リスクを喫煙やアスベストと同等に引き上げたPFOAがあります。PTFAとPFOAはあくまで同類に過ぎず異なる化合物ですので混同しないよう注意が必要ですが、「焦げ付きを防ぐ」程度の理由で(いつ有害性が認められるか分からないような)発がん性物質の仲間を選ぶ気にはなりません。セラミックコーティングで必要十分です。

その他よもやま

■運動関連

理想を言えば、強度やボリュームを設定して、定期的に(負荷を上げつつ)行った方が良いのは間違いないのでしょうが、天気や予定、何よりその日の気分で(笑)やれること、やりたいと思えることが変わるので、固定しなくなりました。

習慣として継続することを最重要視した際、固定してしまうことにはデメリットもあって、何らかの事情で実行できなかったときに、その習慣が完全に消滅してしまう場合があることです。「失敗した!」「もういいや!」「やめちまおう!」となってしまいかねないんですね。

なので、「何でも良いから最低1個、運動がカウントできれば良し」という、とてつもなく低いハードルだけを設定しています(笑)。階段を上り下りした、スクワットを1回やった、フローリングワイパーで掃除をした、など本当に何でもOKというルールです。

こうすることで「本当に何一つ全くもって運動しない日」というのが生じる方が難しくなり(笑)、継続しているという「事実」が形成され、自動的に運動が習慣化されます。すると「自分は運動が日常になっている」という自信が持て、自己肯定感も上がります。

そうすればしめたもので、たまたま早起きできたから朝散歩しよう、とか、今日は気分が良いから自転車で遠くまで行ってみよう、とか、より負荷の高い、あるいはボリュームの多い運動へも無理なくステップアップすることができます。100点を目指すよりも、0点を獲らない(獲りようがない状態にする)方が重要だと思います。意思より仕組みです。

あと、僕はスタンディングデスクを使用しており、打合せや作業、動画視聴などPCに向かっている時間は基本的に立っているため、一定の運動量が確保できるようになっています。「座りっぱなしで過ごしているだけで寿命が縮まる」という恐ろしいデータがあるのですが、座り続けなければ良いだけです(笑)。

読書もスタンディングデスクに読書スタンドを立て、ストレッチなどと同時に行っています。イスやソファはありますが、食事や水分補給で休憩する際など利用法は限定的。座りっぱなしの害とセットで登場しがちなテレビは捨てました。部屋も広くなりますし埃が溜まるスペースも減って非常に快適です。

■睡眠関連

自然起床、朝日を浴びる、軽い朝食を摂る、夕食を摂らない、湯船に浸かる適切にサプリを活用する、等はここまでに述べてきた通り。基本的には食事と運動で睡眠の質と量が上がる基盤を作ります。それ以外で睡眠のために行っていることを挙げてみましょう

まず夜更かしをしません。具体的には、陽が沈んでからの気を遣う作業は一切しません。細かい作業は勿論、仕事の打合せや食事会なども日中に行います。夜の打合せを断ると嫌な顔をされることもありますが、代わりに早朝の時間帯を打診すると大抵ご理解頂けます(笑)。

ブルーライトについては入浴後はほぼ完全に遠ざけており、日中もディスプレイは全て常時ブルーライト軽減モードで使っています。それで特に不都合は無く、正確な色彩が重要になるデザイナー職でもない限りは問題は生じないのではないでしょうか。

カフェインも朝食のダークチョコレートに含まれる分以外は摂りません。午前中なら夜の睡眠に影響は無いと言われてもいますが、あくまで体質に拠ります。何より本質的には(LSD以上とも言われる)ドラッグであり、他に健康効果の高い成分はいくらでもあるので、わざわざ睡眠や脳神経を危険に晒してまでカフェインを積極的に摂取する理由になりません。

起床直後と就寝直前にストレッチも行っています。起床時にバタバタと活動を開始するのではなく、身体と対話しながらじっくりと覚醒させることで自律神経を安定させられますし、就寝時に身体をほぐすことで入眠がスムーズになります。とにかく睡眠に死力を尽すのです(笑)。

それでも上手く眠れないこともあります。そんな時は、気にしないことを心がけています(笑)。気にしてしまうと余計に眠れなくなる危険性が高いので、「まぁこんなこともある」と割り切るんですね。まどろむまでベッドの中で本を読んだり、タブレットで動画を見たりもします。そして翌日はいつも通り、身体をいたわりながら1日を過ごして、穏やかに次の夜を迎えるようにしています。

■情報関連

仕事柄もあって様々なSNSを使っていましたが、Facebookを除いて全てアカウントを削除しました。依存性が高く、有益性が低いからです。僕自身、映えと盛りによるマウント合戦と、下品な広告に辟易していたこともあって、削除したことで特に不都合は無いばかりか、余計な刺激による精神的負荷が下がり、QOLが上がりました。

FBだけ残しているのはリアルの友人知人たちとのつながりが多く、連絡手段として有効だからです。つまりメッセンジャーが主用途ためTLは追いませんし、スマホにアプリは入れていません。PCブラウザからのみの限定的な閲覧で必要十分です。

それに近しいものとして、各種ニュースアプリも削除し、LINEからも一般ニュース系の公式アカウントをブロックしました。ニュースを見ておかないと世の中の動きが分からなくなる、という意見もあるかと思いますが、過去を振り返っても、触れたニュースの99%以上は自分とは無関係です(笑)。

そもそも大半がくだらない芸能ネタか政治屋ネタですから、そんなものを受け取るだけ脳の処理能力の無駄遣いです。自分が必要とする情報は勝手に入ってきます。全方向に常時アンテナを張っておく必要はありません。そんなことをしても、溢れる情報を拾い切れはしませんしね。

興味のある事柄について自分で積極的に調べていれば、情報の確度も深度も上がります。結果、漠然とSNSやニュースで得ていた情報よりも身になるはずです。僕は健康情報の収集で読書量が急激に増えましたが、その流れですっかり読書が趣味になり、特に有益な知識量はむしろ増えています。

読書は紙の本をよく読みます。購入することもありますが、メインは図書館。今更ながら図書館の有益性に感動しています。紙の本でこれほどコスパの良いサブスクは他に無いでしょう。言うまでも無く税金で運営されているので、活用した分だけ奪われた所得を回収できます(笑)。

電子の方が便利だという人もいるでしょうが、そこは人それぞれかなと。僕も一時期、電子書籍に完全シフトしようとしたことがありましたが、脳の光の処理方法が異なるため、紙の方が知識の定着率が上がります。目の疲労も軽減されるので、今では電子書籍はサブになりました。

■素材関連

脳は受ける全ての刺激に、無意識下で快・不快を感じており、その不快が知らず知らずのうちにストレスとして蓄積したり、自律神経の働きを悪化させたりします。なので、光や音は勿論、臭いや感触も健康管理には重要な意味を持ちます。

僕の場合は、直接肌に触れる部分に化学繊維や石油製品はなるべく選ばないようにしています。例えば衣類や寝具。皮膚炎がアレルギー性なのか接触性なのか未だにハッキリしていないのですが、少なくとも化学繊維だと症状が悪化しやすいので、基本的にコットン100%、選択肢が無い場合にシルクやウールで統一しています(履物や冬場のアウターは妥協していますが)。

食器は木・陶磁器・金属・ガラスのいずれかに限定しています。言い換えれば樹脂系のものを排除しているということですが、使い心地の悪さから来る無意識の不快だけでなく、マイクロプラスチックを避けることも大きな理由です。人体への具体的な影響度はまだ不明確ですが、樹脂製容器やまな板などからのマイクロプラスチックの発生、人体への吸収、吸収した動物への悪影響までは確認されています。

成分によっては口からよりも経皮吸収の方が効率が良いものもありますので、感触だけではなく、成分の有害性自体もリスクを考慮して商品を選んでいます。ハンドソープ、ボディソープ、食器用洗剤は石鹼成分のみのものに自然と辿り着いており、衣類用洗剤も無香料・無着色のものを長らく使っています。柔軟剤は使いません。最近では歯磨き粉も人工甘味料や香料が不使用のものを選び始めました。

常時乾燥肌の僕にとっては保湿薬も極めて重要ですが、どの成分がどの程度どのように悪影響を与えるかは体調にもよるので判然としません。そのため、なるべく余分な成分が入っていないものを医薬品グレードの中から選んでいます。入手可能な選択肢の中から可能な範囲で、という条件付きにはなりますが。結果、ステロイド剤の使用は頻度、量ともに激減しました。

■住環境関連

上京して15年以上、都心(23区内)で暮らしていました。どこへ行っても人と車に溢れ、誰もが不機嫌そうで、クラクションが頻繁に聞こえ、小売店の通路はまともに人とすれ違う幅も無く、飲食店のテーブルは小さく、家賃はやたらと高い。いつしか、何かがおかしいと感じ始めました。

そう考えて郊外に引っ越してみたら、まぁ快適だこと(笑)。人も車も常時混み合うほどではなく、大抵の人は概して穏やか。クラクションは珍しく、小売店も飲食店もスペースに余裕があり、高層ビルが無い分、空も広くて常に解放感があります。しかも家賃もリーズナブル。僕は今まで一体何をやっていたのか(笑)。

まぁ、住環境の良し悪しの基準自体がライフスタイルや価値観によって変わるので、あくまで今の僕には郊外が合っているということなのでしょう。環境が静かになると自分自身も落ち着きが出てきます。自然と慌ただしい所作も減り、自律神経の安定も促進されます。

僕のようなギグワーカーは会社員に比べて収入が不安定であることは否めませんが、最大の固定費である家賃が大幅に下がったことで可処分所得が増えます。すると資産運用の効率アップし経済的リスクの軽減にもつながっています。ヒトは「お金が無い」という感覚に「食料が無い」と感じるのと同じ脳領域を使っているので、生命の危機と同様のストレスを受けます。

このストレス自体が炎症の原因となるばかりか、この危機感を抱いた状態では脳のパフォーマンスが下がることも明らかになっています。平たく言えば、「お金の不安は身体を傷め頭を悪くする」訳で(笑)、金銭的不安の解消は健康維持にも生産性の向上にも不可欠な要素なのです。

■仕事関連

このようにして「本当に必要と感じるもの」「実は不要なもの」の基準が明確になると、全てにおいて自然とOK/NGの判断が付くようになります。仕事も例外ではなく、気乗りする案件・気が乗らない案件がハッキリします。しかも経済的リスク既に低減されているので、依頼をお断りする勇気持ちやすい(笑)。

結果、気乗りする案件に限られたリソースを集中させることができるので、充実感が高く、クオリティも上がるので仕事相手の満足度も増して関係性も一層良好に。煩わしい人間関係の大半は仕事から生じるかと思いますが、それも激減しますので軽く一石何鳥か分からなくなるくらいの有効性です。

そもそも脳のパフォーマンスが向上しているので生産性も上がり、効率的に仕事を進められるでしょう。すると時間的に余裕が出来、プラスアルファの学びに投資することも可能になるため、更にパフォーマンスが上がるという好循環までもが生じ、止まらなくなります。

■メンタル関連

心と身体は切り離せません。というか、心とは脳の思考や感覚(と無意識)そのものです。人間の精神面は結局のところ神経伝達物質やホルモンによって(無意識レベルで)管理されているので、ここまでの各要素で健康面を中心に環境が整っていれば、必然的にメンタルは安定します。

余計な執着憧れ怒りなどはいつの間にか薄らぎ、様々な人や物への感謝に溢れてきます。他者が作り出した偽りの幸福追求することもなくなり、自分が思う幸福に焦点が当たります。「ねばならない」思考から「したいからする」思考へ自然シフトしていきます。

これまで述べてきた事柄も、「しなければならない」と思っていると辛いだけです。実行した結果、健康が実現され、実際に幸福を感じることで、「やりたい」「続けたい」と感じるようになります。そうなった後でも、寄り道はしても良いと思います(笑)。それで健康度や幸福度が下がれば「やっぱり続けたい」と思えますし、下がらないなら「これくらいなら大丈夫なんだな」と知ることが出来ます。

僕自身、外食時には排除基準を多少は緩めますし、目に悪いと分かっていつつ無料マンガ、アニメ、映画、ゲームなどはディスプレイで心行くまで楽しんでいます。幸福な人生のための健康であり、健康のための人生ではないからです(笑)。ただし、常に身体の反応を確かめながら楽しむことを大切にしていて、明らかな悪影響が感じられれば身体に陳謝しながら軌道修正します。

「感謝」「笑い」「前向き思考」がメンタルヘルスに有益という研究も数多くありますが、「感謝しよう」「笑おう」「前向きに考えよう」などとしても辛いだけでしょう。何故なら、「感謝したい」「笑いたい」「前向きに考えたい」などとは遺伝子にプログラムされておらず、「意思の力に頼った努力」が求められ、疲弊してしまうから。結果と目的と手段を混同しないことが大切です。

心身の健康があり、健康のかけがえのなさを噛み締められるようになって、僕の中には自分を取り巻く全てへの感謝が自然と湧いてくるようになりました。そんな精神状態なら、気付きもしない内に笑い、前向きに考えているものです。このようにして当たり前の存在となった感謝や笑い、前向き思考によって、精神的な幸福度が一層高まる、というのが最も自然な順序だと思います。

無いものを無理やり求めるのではなく、まずは自分の身体の「健康になろうとする力」を邪魔しないこと。そうすれば、既に手の中にある、誰のものでもない、自分自身の幸福を実感できるようになります。健康が、全ての土台となるのです。

さいごに

Be Tonally.

様々な書籍を通じて多くの専門家の方々の知見や思考に触れることと、自分で実践し身体の声に耳を傾けることを通じて感じているのは、「人として今を生きる」ことの大切さです。

そして身に染みたのは、「人として今を生きる」上で不要なものが身の回りにどれほど多く、不可欠なものを僕らがどれほどないがしろにしてきたかです。

「人としての本質的な調和」から外れれば外れるほど、不具合が生じて、様々な不調や病気という形で問題が表面化するというのが現時点での僕の理解です。

このことを、病を通じて教えてくれた自分の「健康性能が高い身体」には、感謝してもしきれません。ずっと「生まれつき身体が弱い」とか誤解しててマジごめん。

人体に限らず、事業、組織、会社、国家、社会など、様々なレベルで生じている問題の多くにも、似たような背景があるようだという構造的な問題も見えてきました。

僕はこれからも、「本質的に調和したありよう」=『Tonally Being』を大切に、今と向き合い続けます。

参考文献

ジョンJ.レイティ
デビッド・A・シンクレア
ニール・バルジライ
鈴木 祐
ムーギー・キム
ムーギー・キム
吉森 保